『僕は妹に恋をする』(2007年:松本潤&榮倉奈々)、『僕の初恋をキミに捧ぐ』(2009年:岡田将生&井上真央)と、それぞれ映画化もされた大人気コミックを生み出し、ティーンのみならず幅広い世代の女性から圧倒的な支持を集める青木琴美。そんな彼女の最新作にして、音楽業界の光と闇、天才の苦悩と切ない恋愛模様を描き、現在までに累計450万部突破(既刊12巻)の大ヒットを記録しているコミック「カノジョは嘘を愛しすぎてる」が映画化。
主人公の小笠原秋を演じるのは、映画『るろうに剣心』やドラマ「とんび」をはじめ映画・ドラマで活躍し、今や日本映画界を牽引する若手俳優・佐藤健が満を持して本格ラブストーリーに初挑戦。そして、劇中の人気バンド“CRUDE PLAY”のリーダー坂口瞬には三浦翔平、その他のメンバーには、窪田正孝、水田航生、浅香航大という今をときめく若手俳優陣を起用。さらに、「リコを探せ!オーディション」で約5,000人の中から選ばれた期待の新星・大原櫻子(おおはらさくらこ)が、圧倒的な歌声を武器に、ヒロインの小枝理子役に挑戦。その他、反町隆史、相武紗季、谷村美月という実力派キャストや、吉沢亮、森永悠希といった注目の若手キャストが集まり、これ以上ないキャスティングが実現した。
今回、公開前のキャンペーンで主演の佐藤健、三浦翔平、大原櫻子の3人が来名。役作り、撮影エピソードを語ってくれた。



▲佐藤 健 ▲三浦翔平 ▲大原櫻子
理子とは歌に対する想いが一緒だなって思います(大原)
▷▷原作は女性に大人気のコミックですが、主人公の秋を演じる上で心がけたことは?
佐藤健(以下:佐藤)「本当にたくさんあるんですけど、1つだけ挙げると、秋の変人具合のバランスですね。原作を読んだ時に、秋が自分のことを“僕”って言うのが気になったんです。大人になって(普段の会話の中で)一人称で“僕”っていうのはちょっと変わってるなって(笑)。作曲家ですし、変人ではあるんですけどね。少女コミックが原作の恋愛モノですから、映画を観てくれる女の子たちにキャーキャー言って欲しいな、キュンキュンして欲しいなって希望もあったので、変人具合を気を付けて演じました」
▷▷大原さんはオーディションで理子役に選ばれたそうですが、応募した動機は?
大原櫻子(以下:大原)「友達がマンガの小枝理子と私が似てるって話しているのをたまたま聞いたんです。それで友達にマンガを貸してもらって、オーディションの話も教えてもらいました。実際にマンガを読んでみたら、リアリティがあって今までにない面白さを感じましたし、女優になるという夢と、歌を長く歌い続けたいという自分の2つの夢が叶えられるなと思って。オーディションを受けようと思いました」
▷▷演じた役との共通点はありましたか?
佐藤「たくさんありますね。秋は(三浦翔平演じる)瞬とは対照的に目立ちたくない人だと思うので。そこは僕と一緒でした」
三浦翔平(以下:三浦)「そう?(笑)。変わり者ってところも同じかも」
佐藤「そうかもね(笑)。でもあそこまで変わってないと思います」
三浦「あんなに性格破綻はしてないね(笑)」
大原「ハハハ(笑)」
三浦「僕は(演じた)瞬に似てるんじゃないかって健からも言われていて(笑)」
佐藤「だいたい一緒です」
三浦「7割弱は一緒かな(笑)。でもあんなにサングラスはかけないです!」
佐藤「いや、結構かけてるよ(笑)」
三浦「それにしても(劇中で)サングラスかけすぎたなと思って(笑)」
大原「私はマンガを読んだ時から、日常の行動なんかで共感できるところがたくさんありました。性格というよりも、歌に対する想いが一緒だなって思います」
理子の弾き語りを初めて聴いた時にイケる!と思いました(佐藤)
▷▷自身のキャラクターを演じるために準備したことは?
佐藤「作曲のシーンがあるので、キーボードとベースとギターを練習しました。あとは自分の周りにいるミュージシャンの方に作曲するところを見せてもらって、イメージを膨らませていきました」
三浦「僕だけじゃなくて“CRUDE PLAY”と“MUSH&Co.”のメンバーはボイトレやギター、ベース、ドラムと、楽器の練習を重点的にやりました。最初に音楽性の高い映画にしたいと言われていましたし、そこはちゃんとやっていこうと。あとは色々なアーティストのライブ映像を見て研究して、いいところだけをもらい(笑)。瞬はいいところだけもらった集合体なんです(笑)」
▷▷冒頭のライブシーンはカッコよかったです。
三浦「実は1人1人がアップになっている映像はエキストラさんが入ってない状態で撮っていて、スタッフさんが2、3人ペンライトを持って、やらされている感満載のところでお芝居をしていたので、やり難かったんです(笑)。でも僕ら越しにお客さんを撮っている引きのところはたくさんのエキストラの方が入って、楽しんでやってって感じだったので、アーティストの楽しい部分が少しわかりましたね。最初からお客さんを入れてくれていたら、もっと盛り上がった映像が撮れたんじゃないかな(笑)」
▷▷大原さんは撮影前にどんな準備を?
大原「映画が初めてだったので、演技のワークショップに参加したり、ボイストレーニングを受けたり、ギターをやったことがなかったのでギターレッスンにも通いました。そして外見をマンガのイメージに近付けるために、ボブだった髪をマッシュヘアにしたり、マンガの理子のような華奢な体型にするためにダイエットを頑張りました(笑)」
▷▷デビューライブのシーンが印象的でした。撮影はいかがでした?
大原「その日は極寒で雨も降っていて、雨が止んだら撮影開始!って感じで、すごく大変だったんです。でも1500人近いエキストラの方たちがタオルを振り回して盛り上げてくださいました。何度も撮っていくうちに段々慣れていきましたけど、撮影がスタート時は理子と同じように自然とドキドキしてました」
▷▷佐藤さんと三浦さんは大原さんの歌声を初めて聴いたとき、どう感じました?
佐藤「この映画に出演すると決めて、なんとしてもこの映画を成功させたいって気持ちでした。でも理子が見つからない限り、この映画がよくなることはないと思っていたんです。理子が櫻子ちゃんに決まって、初めて僕の前でギターを弾き語りしてくれた時には本当に鳥肌が立ったし、イケる!と思いました」
三浦「初めては健に聴かせてもらったんだっけ?」
佐藤「CDでかな?」
三浦「そうだよね。これが理子の歌だよって言われて、イケる!いいな!って言いました(笑)」
大原「素直に嬉しいです(笑)。佐藤健さんと三浦翔平さんに自分の歌を聴いていただくなんて不思議でしたけど、そう思っていただけて本当に嬉しいです」
▷▷佐藤さんは今も大原さんを優しく見守っている感じがしますが、撮影を通して成長を感じました?
佐藤「会う度にどんどん大人っぽくなっていくし、あか抜けていくし、それこそ撮影が終わって映画の宣伝のために久しぶりに会ったらまた全然違っていて。歌もどんどんよくなっていて、どこまで行っちゃうんだろうって感じです。もうどこまで上に行って欲しいですね」
▷▷この映画のために数々の曲が作られていますが、特に好きなのは?
佐藤「僕は一番最後の“ちっぽけな愛のうた”です。もともと好きなタイプの曲ですし、歌詞を作る段階で意見を言わせていただいて、取り入れてもらったので一番、思い入れが強いです」
三浦「僕も“ちっぽけ”ですね。この映画のすべてを物語っているので。もちろんクリプレ(CRUDE PLAY)の“サヨナラの準備は、もうできていた”も映画に深く関わっている大事な歌ですけど、その“サヨナラ”を途中に挟んで最後は“ちっぽけ”で締まっていると思います」
大原「好きな曲と聞かれると、どうしても1曲に決められないんですけど……。オーディションの課題曲としても出ていたのが“明日も”なので、一番長く側にあって、一番身に染みてる曲かなって思います」
音楽性が高く、1人1人の人間をちゃんと映し出した映画です(三浦)
▷▷3人はとても仲がよさそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
三浦「健とはプライベートでもよくご飯に行ったりするので、2人のシーンは仲のいい感じは出せたと思いますし、ほかのメンバーも同年代でしたから、穏やかな感じて楽しく撮影をしてました」
佐藤「今、翔平が言った通りです(笑)。和気あいあいとしていました。理子とも日を重ねるごとに仲良くなって、お互いのことをわかるようになっていけましたし。スタッフさんも含め、本当にいい人ばっかりでしたね」
三浦「そうですね。(小泉徳宏)監督は割と自由にやらせてくれる方なので、色々なアイデアを僕らで出し合いながら。現場では原作と照らし合わせて、もうちょっとこうした方がいいんじゃないかって、みんなでやってましたね」
大原「キャストが健さん、翔平さん、相武紗季さんとすごく豪華な方たちなので、撮影に入る前は緊張してたんですけど、本当に和やかで楽しい雰囲気でした」
▷▷初めて映画の現場に参加して、想像と違うと思ったことは?
大原「映画の撮影は半年ぐらいあると思っていたら、2ヶ月ぐらいでアッという間に終わっちゃったことにビックリしました(笑)」
三浦「そんなもんだよ(笑)」
▷▷完成した映画を観た感想と好きなシーンを教えてください。
佐藤「自分の映画を観るのはいつも恐いんです。今回は少女マンガが原作で、色々な人から“ラブストーリー初挑戦ですね”とか“世の女子をキュンキュンさせちゃってください”とか言われてましたし(笑)。若い女の子が好きそうな、男が観ると恥ずかしい映画を想像していたんですけど、大人っぽく繊細な映画に作られていて。観てられない、恥ずかしいみたいなシーンがなくて、本当に日常でありそうなリアルな感じで描かれていたんです。改めて小泉監督はこういう映画にしたかったんだなって思いました。好きなシーンはたくさんあるんですけど、秋と理子が橋を歩いていて、秋が“今、音楽がスゲェ楽しいんだよ。理子のおかげ”って言って、その後に理子が嬉しそうに笑う、そこです」
三浦「今、健が言ったようにザ・ラブストーリーみたいな感じになるのかなと思っていたら、全然そんなことはなく。スタッフさんとの最初の打ち合わせで、“ラブラブしない映画にしたい”って言っていたのがよくわかりました。先ほども言ったように音楽性も高いし、1人1人の人間をちゃんと映し出していてくれているので、素直に観られました。2時間弱がもう終り?って感じでしたね。好きなシーンは結構あるんですけど、男目線では理子が“私が守ってあげる”っていうところ。どうしようもなく辛い時に、年下の、ましてや高校生にそんなことを言われたら…いいなあって(笑)。あと健とはギョウザを食べているシーンですかね。あのシーン、本当はもうちょい長く撮ったんですよ。監督がなかなかカットをかけてくれなくて、セリフを言い終わってからも2分ぐらいアドリブを続けて、自分たちからもういいでしょ!って(笑)。それなのに本編を観たら全カットですよ(笑)。あの2分を返して欲しい」(一同爆笑)
大原「私は自分が大きなスクリーンに映っているので、最初は何がなんだかわからなくて。自分の演技ばっかり気になって、ストーリーが全然頭に入ってこなかったんです。それで3回観させていただいたんですけど、マンガのキラキラしたような夢の世界もありつつ、音楽であったり、何気ない風景もキレイに撮られていて、スタイリッシュでカッコいいなって思いました。好きなシーンは観る度に違っていて、1回目はMUSH&Co.のライブシーンで、2回目が秋の部屋で秋と理子が“卒業”を一緒に歌うシーン。3回目は2人で“ちっぽけな愛のうた”を演奏する最後のシーン。3回それぞれ印象に残るシーンが違っていました」
TEXT=尾鍋栄里子


★『カノジョは嘘を愛しすぎてる』12/14(土)→TOHOシネマズ名古屋ベイシティほか

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(C)2013 青木琴美・小学館/「カノジョは嘘を愛しすぎてる」製作委員会