伝説のアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」を、現代風にアレンジして映画化。8月24日(土)公開の映画『ガッチャマン』のキャンペーンで主演の松坂桃李、綾野 剛が来名!和製ヒーローの魅力とキャラクター裏設定を教えてくれた。
原作ファンの人が観ても“懐かしい!”って思える瞬間がある(松坂)
▷▷おふたりは原作のアニメを知らない世代だと思いますが、演じてみてガッチャマンの“ここがスゴい!”と思ったところを教えてください。
綾野剛(以下:綾野)「これはあるね! ではうちの松坂から話しますので」
松坂桃李(以下:松坂)「俺かよ(笑)。今回の映画の登場人物は誰1人としてガッチャマンという言葉を口にしてないんです。でも監督は原作へのリスペクトを忘れていないので、当時のアニメを観ていたファンの人が観ても“ガッチャマンだ! 懐かしい!”って思える瞬間が多々あるんです。それぐらいスゴいものを作ったというのは誇れることだと思います」
綾野「ガッチャマンも含めて日本のヒーローはユニットですよね。5人とかの。でも海外のアメコミの『バットマン』や『スパイダーマン』は1人。そこが大きな違い。誰か1人が欠けてもいけない、みんなで力を合わせる。足りない部分を補い合う精神的な所作、思いやりがあるのは日本のいいところで、それが影響していると思います」
▷▷監督はガッチャマンにこだわりがあるようですが、現場でキーワードにしていたことは?
松坂「監督は好きすぎて裏設定を作っていたんですが、僕たちが聞いたのは撮影が終わってから。例えば鈴木亮平さんが演じた竜は実はサイボーグなんだとか(笑)。5人の中では能力が少し低いかもしれないが、スーツを着なくても力を発揮することができる。アナタはサイボーグなんですって後から言われて、亮平さんすごく困ったって。なぜ先に言わないって(笑)」
綾野「亮平の時が止まってたよね(笑)。他にもガッチャマンの中で一番強いのはジュン(剛力彩芽)で、計り知れないパワーを出してしまうので、弟の甚平(濱田龍臣)の存在が力の放出を押さえているっていう設定があるらしく。そういうことを1人で考えて楽しんでいらっしゃるんですよ(笑)」
松坂「話を聞くとスイッチが入っちゃって止まらないんですよ」
綾野「だからあまり質問しないようにしてたもんね」
松坂「剛くんが演じたジョーの設定は加速装置だよね?これは映像にもあるんですけど」
綾野「“アディオス”って言う時に一瞬でスピードをバーンって上げるところですね」
松坂「僕が演じた健はまたちょっとわかり難くて(笑)。ガッチャマンは5人ともストーンの力を持っているんですけど、直接叩き込まなければそれを相手に伝えることができない。でも健はストーンの力を他の物質に移して遠隔操作ができる。だからバードランも自在に操ることができて、投げたら返ってくる!」
綾野「ジョーの羽根は繋がって線になってるけど、この人の場合は完全に離れてますからね。でもそれも後から言うんです。俺なんか3、4日前に知ったんですよ(笑)」


この拳は正しいのか、常に自問自答しながら戦っていました(綾野)
▷▷ガッチャマンのコスチュームの着心地はいかがでした?
松坂「決していいとは言い切れないです。でもちゃんと体型に合わせた、その人にしか着ることができないスーツになっていて、ヘルメットも型を取って頭のカタチにピッタリと合わせてあるんです。それを着ることで今から戦いにいくんだっていう意識を持たせてくれる衣装だったので、『ガッチャマン』という世界観に入っていくにはとても助けになりましたね」
綾野「桃李が客観的に話してくれたので、あえて内生的な話をすると、このスーツを着るとどこか悲しみを帯びているような状態になるんですよ。本来ならスーツを着ないに越したことはない。スーツを着るということは、いわゆる戦争に立ち向かっていく、なんらかの生命を絶つ作業になるので。勇ましい気持ちでは挑めなかったですよね。この拳は正しいのかっていうことを、ずっと自問自答させられる状態でした」
▷▷スーツを着ることでキャクター作りができた?
綾野「衣装の力は非常に大きいです。僕たちはよくどう役作りをしているんですかって聞かれますけど、美術セットがあって、人の存在を照らす照明部、感情を映し出してくれる撮影部、呼吸を捉える録音部がいて、衣装を着てメイクをしたら9割は完成しちゃうんです。僕たちの作業はたった1割、最後に心だけを持っていけばいい。各部署の力は非常に大きいですし、やっぱり衣装には助けられるよね?」
松坂「本当に助かります。例えば今の衣装のままでガッチャマンを演じることになったら、セリフの感じも変わりますからね。今の現実のリアリティに近いものになってしまう。でもガッチャマンにはガッチャマンの世界のリアリティがあって、衣装はそこに連れて行ってくれるんですよ」
▷▷ガッチャマンとして戦う理由は何だと思う?
松坂「戦う理由を求める、答えを見つけるために戦っていました。ガッチャマンの世界では、なぜ戦わなければならないのか、その答えを出すためには戦うしかない。だから彼らは戦場に向かって行ったんです。適合者として自動的に選ばれてしまったんですから」
綾野「理由があったら止められるはず。でも理由がないから戦えるんですよね。非常に厄介なややこしい人たちですから。どこに拳を繰り出せばいいのか、この拳は正しいのか、常に自問自答しながら戦っているけど、正義は見つからない。でも見つからなくていいんです。正義を持つと誰の話も聞かなくなりますから。まったく愚かな行為ですよ。だからこそこの作品を、ジョーを通して正義が見つからなくてよかったなと思ってます」
松坂「その正義は周りから見たら悪かも知れないですからね」
映画のような三角関係になったら“ねるとん方式”で告白します!(綾野)
▷▷この映画は女性が観ても楽しめると思いますか?
松坂「過去のジョーとナオミと健の三角関係は、女性も共感できる部分があるとは思います。絵にも迫力があって圧倒されますから、男女問わず観て欲しいですし、ドキドキやワクワクを感じてもらえると思います」
綾野「女性は色々なストレスを抱えているでしょうから、興奮してストレスを吹き飛ばしてもらえると思いますよ。白組というチームのCGが本当にスゴいので。僕は試写を観た時に、あるものが空から降ってきてビルにドーンとぶつかるシーンで大爆笑したんです。本当にスゴいものを観ると笑っちゃうんですよね(笑)」
松坂「衝撃だよね。NYとかじゃなくて、自分たちが行ったことのある身近な場所に落ちてきて」
綾野「環八だっけ?環七だっけ?暴走しますよね(笑)。すげぇ笑ったなあ」
松坂「その辺りが破壊されて人々が逃げて行って、あまりの衝撃に笑いが起きましたね」
▷▷三角関係と言えば、健は好きな女性を友達に譲るタイプ、ジョーは結構グイグイ行くタイプですが…
綾野「くるよくるよ、例の質問(笑)」
▷▷おふたりはどちらタイプですか?
松坂「きました(笑)」
綾野「それに関しては決定事項があるので、うちの松坂から」(一同爆笑)
松坂「これはですね(笑)。お互いに“好きなの?”“どうする?”とまず2人で話し合う」
綾野「で、“俺は好きだよ”ってなったら」
松坂「“よしわかった!じゃあ年功序列で”と」
綾野「好きな女の子の前に順番に行って、好きだと告白して…結果、2人とも嫌われる(笑)。もしくはねるとん方式。年功序列で“俺、先に行くよ31歳だから”」
松坂「“わかった。俺24歳だから後から”」
綾野「“オッケーじゃあ行ってくる”と、好きな人の前に行って“○○さんのことが……”」
松坂「“ちょっと待った! 俺も○○さんのことが好きなんだ!”」
綾野「そして“お願いします!”と告白して…2人とも嫌われる(笑)」
松坂「そういうパターンですね(笑)」
▷▷コントみたいですね(笑)。打ち合わせしたかのような。
綾野「何回も聞かれてますから(笑)」
松坂「打ち合わせせずとも構築されたんです(笑)」
▷▷おふたりは本当に仲が良いですが、共演してさすがだなと感じたところは?
綾野「僕は結構ありますよ。(共演者への)信頼って大切ですけど、時間はそんなに必要なくて、相手を尊敬できるかどうか。彼は非常に真面目で、自分の胸にある考えや想いに誤魔化しがない。大木のような太い幹がある一方で、それを簡単に折る勇気も持っている。そういうところを尊敬しています」
松坂「剛くんは役としての作品への向き合い方が非常に真面目。そのちゃんと向き合っている感じがとても尊敬できるし、学べるところがたくさんありました。そもそも共演してみたい人でしたから、今回の出会いはとても大きかったです。1度だけではまだまだ出てない面が絶対にあるから、また違った刺激も欲しいなと思わせてくれる、今後も仕事をしていきたい人の1人です」
▷▷もともと気になる相手だった?
綾野「他の作品を観ていてもいい芝居するなあって。ウマいとかヘタとかはわからないけど、僕が好きな芝居をしていたんで。どんな化学反応が起きるのか楽しみも刺激もありました。松坂桃李だけじゃなくて、(剛力)彩芽ちゃんも(鈴木)亮平も(濱田)龍臣もいい影響しかないなと思っていたんで。みんなパワーありますからね」
松坂「そうだね。年齢もバラバラだけど」
▷▷では映画の中でいい化学反応が出せた?
松坂「そうですね。出ていると思います!」
TEXT=尾鍋栄里子

★8月24日(土)よりピカデリーほか

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