インタビュー
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清野菜名『TOKYO TRIBE』インタビュー!
『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』など、センセーショナルな作品を放ち続ける園子温監督が挑む新作は、近未来の“トーキョー”を舞台にストリートギャングたちが大暴れする『TOKYO TRIBE』。原作は、単行本(全12巻)で累計200万部を売り上げ、アジアをはじめ海外でも絶大な人気を誇る、井上三太による伝説の漫画「TOKYO TRIBE2」。初の実写化は、「出演者がセリフをラップで奏でる」という大胆な手法で描かれ、この“バトル・ラップ・ミュージカル”に豪華キャストが集結! メラには『HK 変態仮面』や、HNK朝ドラ「花子とアン」に出演中の鈴木亮平、海にはYouTubeで開催されたオーディションで抜擢されたラッパーのYOUNG DAIS、共演の清野菜名、佐藤隆太、染谷将太、でんでん、窪塚洋介ら、個性的な面々が顔を揃えた。
今回、名古屋キャンペーンでヒロイン・スンミ役を演じた清野菜名が来名。愛知県出身の彼女が、女優魂をかけて挑んだアクション、役作り、本作に寄せる想いを語ってくれた。
恐かった園監督のイメージが現場で変わりました
▷▷女優になったきっかけは?
小学校6年生の時に、雑誌「ピチレモン」のオーディションに受かってモデルのお仕事を始めて、中学生の時は地元(愛知県稲沢市)から東京に通っていたんですけど、高校1年の時に上京したんです。その後「ピチレモン」のモデルを卒業することになって、何をやりたいか考えた時に、女優をやりたいなって。でも演技経験もなくゼロからのスタートでしたし、なあなあな感じになっていて。ちゃんと女優になろうって思ったのは、映画『クワイエットルームにようこそ』の大竹しのぶさんを観てから。人って演技でこんなに変われるるんだって衝撃を受けたんです。それから演技に興味が出てきました。
▷▷アクションは昔からやっていたんですか?
高校2年の時からです。昔から動くことが大好きで、実家は田舎なので人目を気にせずいつも運動してしたんです。でも東京に来て、全然運動することができずにストレスが溜まってしまって。ストレス発散のために始めました(笑)。アクション女優になりたいと思ったのは、『バイオハザード』という映画を観たのがきっかけ。主演のミラ・ジョヴォヴィッチさんがめっちゃカッコよくて。それから技を増やしたいなと思って、色々習いました。
▷▷『TOKYO TORIBE』のオーディションはどんな感じで?
2回受けて、最初は暗記してきてくださいと前日に台本が送られてきました。でも“おはようございます”ってオーディションに入っていったら、“おはようございますじゃねえんだよ”っていきなり園さんに怒られて(笑)。周りから恐いって聞いてましたけど、本当に恐かったです(笑)。結局その時は台本を読むこともなく、自己紹介だけで終わりました。(一同爆笑)
▷▷機嫌が悪かったとか?
後から聞いたら機嫌が悪かったみたいですね(笑)。2回目はアクション要員として受けさせてもらって、お芝居とアクションを少しやりました。その場でアクション監督が、パンチをしてかわして後ろ回し蹴りをするという立ち回りを付けてくれて。私は後ろ回し蹴りが得意なので“よっしゃー!”と(笑)。その後、マネージャーさんに“スンミでお願いします”って電話がきた時はビックリしました。
▷▷原作で描かれる90年代のストリート・カルチャーはリアルで知らない世代だと思います。どう感じました?
オーディションを受けることになってから原作を読んだんですけど、すごくクレイジーな作品で、仲間っていいなって思ったし、男と友情とかケンカのシーンとかカッコいいなって。その年代のファッションやカルチャーにも興味が出ました。
▷▷スンミのキャラクターはどうやって作ったんですか?
原作やアニメを見て、雰囲気だけ自分の中に入れていく感じで、特別な役作りはしませんでした。スンミは原作とはちょっと違っていたので、原作を取り入れつつ、どんどんバージョンアップしていければいいかなって。
▷▷現場での園監督は?
厳しいと聞いていて、いつ(ゲキが)飛んでくるのかビクビクしていたんですけど、意外となかったです(笑)。私がアクションで失敗した時に優しく話しかけてくれたりして、一気にイメージが変わりました。あと現場の雰囲気が中だるみした時には、“おい清野! お前さっきのテストみたいな感じじゃ将来ねぇぞ!”って、私を通じてみんなに喝を入れてくれたり。それで私もみんなもピリッとなって、新鮮な気持ちで撮影できました。無闇に怒鳴るって感じじゃなく、本当にその人のことを思ってくれている印象でした。
得意技は飛びながら後ろ回し蹴りをする“飛びバック”です
▷▷現場の雰囲気は?
撮影の合間はみんな自分のラップを口ずさんでいました。私は海を演じたDAISさんと一緒にハシーム(石井勇気/パンダユナイテッド)の下ネタっぽいラップを作って楽しんでました(笑)。
▷▷ラップは難しかった?
難しかったです。撮影の1ヶ月前から、ギラギラガールズとして出演されている女ラッパーの方に、韻の踏み方やリズムの取り方をイチから教えてもらって、常に家で聴いたり、動画をいっぱい見て勉強しました。でも知れば知るほど本当に奥が深くて難しいんです。特に私のラップシーンは、アクションをしてから、しかもカットを割らずにそのままやらないといけなくて。アクションでテンションがアガッてるから走っちゃっうし、1回入るタイミングを逃したらカウントを待たなきゃいけないし、リズムに合わせるのがすごく難しかったです。
▷▷共演した鈴木亮平さん、YOUNG DAISさんの印象は?
鈴木亮平さんは見た目は原作と違いますけど、肉体もそうだし、歯も牙に見えてきたりするぐらい、本当にメラって感じで。役作りって重要なんだってすごく勉強になりました。首を絞められるシーンでは、“ちょっとだけ力入れるね”ってやってくれて、私もリアルに芝居ができましたし、本当に気を遣っていただきました。YOUNG DAISさんは初めての演技とは思えないぐらい最初から海になっていて。自分もがんばらなきゃって、いい刺激をもらいました。
▷▷ほかにも濃いキャラクターがたくさん出ていますが、どうやって存在感を出そうと?
ぶっちゃけ“私これでいいのかな?”って思いはありました。でも特に目立とうとせず、自分が思った通り、スンミは強い女性だってことを大切に演じました。出来上がった映画を観たら、それでちゃんと存在できていたのでよかったです。
▷▷アクションはスタントなしで挑戦されたそうですが、監督からはどんな指示が?
自分がやりたいようにやれってスタイルだったので、思い切りやらせてもらいました。ただ露出が多かったので、撮影の1ヶ月前からジムに通って、食事制限もして、かなり体を絞ったんです。でも久々に園さんに会ったら、“なんで痩せてんだよ! 今日から焼き肉とコーラと甘いもんな”って、そこにあったお菓子を直接、食べさせられて(笑)。原作のスンミも少しふっくらしてますし、監督もふっくらが好きだと思うので(笑)。ちょっと失敗しました。
▷▷アクションにアイデアが取り入れられたことは?
飛びながら後ろ回し蹴りをする“飛びバック”って技があるんですけど、すごく得意だったので、最後のキメとかに入れてもらいました。
▷▷難しい技なんですか?
結構、難しいと思ってます。半歩で回る人が多いんですけど、私はちゃんと1回転して回すので。
▷▷オープンセットでの撮影はどうでした?
私だけじゃなくみんなそうだったんですけど、現場に入った瞬間にスイッチが切り替わって、一気に役に入れるような感じがしました。自分もこうやって変われるんだって発見できて、すごく面白かったです。
▷▷特に印象に残っているのは?
ブッパ邸にあるピンクの風船が敷き詰められた壁を見た時は“すげぇ!”と思いました。あれは全部おっぱいらしいです(笑)。(一同爆笑)
清野菜名を全部出せたっていう達成感があります!
▷▷今回の現場で園組の魅力は感じました?
みんなが楽しんでいるけど、決めるところは決めてやると思っているような。今まで味わったことのない空気感があって、自分も集中して撮影に臨めました。スンミの衣装、スタッフさん、園監督、DAISさんと渋谷や原宿を回って探したんですけど、そうやってイチから一緒に取り組んだのは初めてで。すごく信頼できました。
▷▷完成した映画を観た感想は?
園さんは撮影前から“この映画はラップミュージカルだ”って言ってたんですけど、どう話が展開していくのか、どう音が繋がれていくのかまったく想像できなくて。でも出来上がった映画を観たら、確かにラップミュージカルだって納得しました。世界観がしっかりあって、アクションもカッコいいし、様々なジャンルのラップの人たちが集まっていて色んな見方ができるし、とにかく見どころがたくさん。早くみんなに観て欲しいです。
▷▷ヌードやパンチラアクションにも挑戦していますが、成長できた実感は?
今までは演技をするのが恥ずかしい、自分に自信がないから演技を見られたくないって気持ちがあって。全力を出せず後悔することが多かったんです。でもスンミは覚悟を持って、全力で向かわないとできない役だったので、清野菜名を全部出せたっていう達成感がありました。本当に出てよかったと思ってます。
▷▷8月31日(日)にはユナイテッド・シネマ稲沢での凱旋舞台挨拶が決まったそうですが、今の気持ちは?
(実家から)超近いんです!(一同爆笑)。地元でお仕事をするのが夢のひとつだったので、すごく嬉しいですけど、人が来なかったらどうしようって恐い気持ちもありますね。
TEXT=尾鍋栄里子
清野菜名 Nana SEINO
●生年月日▶1994年10月14日●出身地▶愛知県
●サイズ▶身長160cm/B81cm/W60cm/H81cm/
靴23.5cm●特技▶アクション、バク転、殺陣、球技、ギター、ドラム、陸上(中学時2009年 陸上全国大会出場:走り高跳び161cm)
清野菜名▶公式サイト
清野菜名▶オフィシャルブログ
清野菜名▶Twitter
◀10月公開の清野菜名主演作
4人の少女が剣を武器に謎の侵略者と戦う姿を、「デスノート」シリーズのほか、「プライド」「ばかもの」など多彩なジャンルの作品を手がける金子修介監督が描いたSFガールズアクション。
『少女は異世界で戦った』
10/18(土)→中川コロナワールド、シネマスコーレほか ▶HP
『TOKYO TRIBE』
8/30(土)→109シネマズ名古屋ほか
(C)2014 INOUE SANTA / “TOKYO TRIBE” FILM PARTNERS
2014年8月11日月曜日